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大人の見る繪本 生れてはみたけれど(1932) 小津安二郎|感想・レビュー

 サイレント映画だけれど、神保町シアターにて、生演奏のピアノの音色とともに、観ることができました。

初めて見たのですが、黒背景にセリフの大写しは、なんか良かった。ああいう見せ方があるのかと、勉強になりました。

子供たちのやりとりや、しぐさに笑えるユーモアがたくさん散りばめられていて、テンポもよく観ることができました。あの有名な(?)オナカヲコワシテイマスの看板を背負っている男の子が登場したときに、きたー!と笑えました。

もちろん、じっくりやりとりを写すワンショットのシーンもあり、小津映画らしさはありました。


活動写真をみに行った時、お父さんがおどけている顔の映像を見ながら、真顔の子供たち。その時の気持ちって本当に言葉にならない感情があると思う。子供の頃、同じ状況になったことがあって、悔しくて泣いた時のことを思い出した。おどけている父親も信じられない気持ちで見ていたなぁと。

子供達の寝顔を見ながら語りかけているシーンは、そんな私にはすごく親心を感じられる場面でした。

親だからといって、万事うまくいっているとは、限らないけれど、子供たちは、まだそれを知らないという状況はきっとありふれた日常の一コマなのかも知れないですね。

社会の中の父親と自分が思っていた父親とのギャップには誰しも直面するのかもしれない。

おにぎりを持ってきた時のお母さんのワンショットでは涙が出そうになった。こういう親の心遣いは、ずっと頭があがらない気持ちにさせられる。この母親のシーンは少し低いところから撮っていた気がするが、それは子供の目線から撮ったということなのだろうか。

お父さんと子供達が3人でおにぎりを食べているシーンは、3人とも同じ方向を向いていて、小津らしいショットとなっていて、心穏やかに観ることができた。

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神保町シアターにて。