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『ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ 』から古書の逸話まとめてみました

第一話 ロバート・F・ヤング『たんぽぽ娘』(集英社文庫)

『たんぽぽ娘』は他の文庫にも収録されているが、書名にたんぽぽ娘と入っている『たんぽぽ娘 海外ロマンチックSF傑作選②』が一番珍しい。
現在は絶版文庫。

たんぽぽ娘―海外ロマンチックSF傑作選2 (1980年) (集英社文庫 コバルトシリーズ)

たんぽぽ娘―海外ロマンチックSF傑作選2 (1980年) (集英社文庫 コバルトシリーズ)

 

 

第三話 宮沢賢治『春と修羅』(關根書店)

宮沢賢治は多くの作品を残していますが、生前に刊行された著書は、童話集の『注文の多い料理店』と『春と修羅』だけです。どちらも自費出版に近い形で、当時はほとんど売れず…作者自身がかなりの冊数を引き取ったそうです。

 

『春と修羅』

『春と修羅』

 
注文の多い料理店 (新潮文庫)

注文の多い料理店 (新潮文庫)

 

 

『銀河鉄道の夜』は、原稿の形で残されたものが、没後刊行された全集に収録されたんです。作者の生前には発表すらされていませんでした。

銀河鉄道の夜

銀河鉄道の夜

 

 

作者の手で何度も大きく改稿されていたので、どれが決定稿なのか研究者の間でも長年論争になっていました。
宮沢賢治の作品ではそういったことが珍しくありません。

 

推敲は全編にわたって行われていて...しかもそういった『春と修羅』は何種類も遺されています。存在するはずだと言われながらも、まだ見つかっていない推敲版もあるほどです。

 

『春と修羅』は賢治にとっては、あくまでも「心象スケッチ」を集めたものでした。この本に収められているのは、詩ではなく、その時その時の心象を書き取った粗いスケッチだ、という意味のことを書き残しています。作者本人は決してこの本を『詩集』と呼びませんでした。

『詩集』と書かれているのは、作者の意向に関係なく、勝手に入れられてしまったものなんです。
あの『春と修羅』当時地方で出版された本にしては、装丁などがかなり凝っていたと言われています。

 

賢治はこの本を詩集とは呼ばず、勝手に印刷されてしまったこの二文字にも不満を抱いていました。賢治はほとんど売れなかった『春と修羅』の在庫を引き取り、友人知人に配っていたんですが、その際に『詩集』の二文字にブロンズの粉を塗って消していたそうです。

  

賢治の筆が入った『春と修羅』は、手入れ本と呼ばれています。現在出版されている『春と修羅』は、手入れ本の推敲に準拠していることが多いんです。

 

ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)