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スリー・ビルボード(2018年)|感想・レビュー

スリー・ビルボード (吹替版)

監督/脚本: マーティン・マクドナー
 
出演:フランシス・マクドーマン ドウディ・ハレルソン サム・ロックウェル
2017年/アメリカ・イギリス/115分

観るまでは、この映画のタイトルさえ知らなかったんですが、
いろんな賞を総ナメにしているんですね。
『シェイプ・オブ・ウォーター』と競っていたようですね。
『シェイプ・オブ・ウォーター』は、知ってたのになあ
(まだ観てないけど、こちらも面白いらしい)
だって、まず予告が面白そう。


『シェイプ・オブ・ウォーター』日本版予告編


本作は、アメリカ中西部ミズーリ州の小さな田舎町のはずれに立っている3枚の広告看板に、

RAPED WHILE DYING(レイプされて死亡)
AND STILL NO ARRESTS?(犯人逮捕はまだ?)
HOW COME, CHIEF WILLOUGHBY?(なぜ? ウィロビー署長)

なかなか、すごいメッセージが、赤背景に黒文字で書かれるところから、スタートします。
小さな田舎町はざわつくっていう話です。

すごく面白かった……!ので、具体的に面白いって思ったところを書きたい。

この広告を出させたのは、ミルドレッドで、
警察や町の人と対立するんですね。
町の雰囲気が、なかなか寂れた感じがあり、個人的には好きな感じで、良かった。
警察署内でも、スラングが飛び交ったり、人種差別があったりと、治安が悪そうな不穏な感じ。

私は、ずっと意思が強い主人公のミルドレッドを応援していました。
他のレビューとか観ていたら、ミルドレッドが、
暴力をふるう(歯医者さんの手に穴をあけたり、高校生けっ飛ばしたり、火炎瓶投げたりします)ところに、
共感できないという人もいたけれど、私は、意志が強くて一貫してる感じが、応援できた。
ミルドレッドが、高校生けっ飛ばすのとかは、息子のロビーに止められるんだけど、やります。
ロビーは、学校で3枚の看板のことで、
嫌な思いをたくさんしたと思うんだけど(映画内に描写は少ないが)、
グレない。
ミルドレッドが元夫に娘のことでいろいろ言われた時も、
ミルドレッドを気遣って本当のことを言わなかったりするんだよね。
いい子なんだよねー。それがまた良い。

前半は、映画のテンポに、うまく付いていけない感じもありましたが、
(なんかカットの移り変わりのテンポが、少しだけゆったりとしていて、私には合わないみたい)
とにかく脚本がいい!とくに後半は良かった。
一番素晴らしいと思った点は、登場人物が、良い奴から悪い奴になったり、変化性がすばらしいな、と。
いいところと悪いところの二面性を描くよ~とかじゃない。
映画の中でのいろんな役割を、多くない登場人物が、うまく担っていると思った。

ウィロビー署長が死んで、ディクソンが、
広告代理店のレッド・ウェルビーを窓から突き落とすところは、
ホラーだった。
ホラーだったのは、私がディクソンの思考を理解できなかったからだと思う。
ディクソンが署長が死んだ!って分かってからの行動力の速さが怖かった。
しかも、レッド、窓から飛んでっちゃうんかーい!とびっくり。
映画野中のバイオレンスな部分は結構びっくり展開で、楽しめた。

アイダホの男から物的証拠をとるためにディクソン巡査が暴力を受けるところとかも、
うわあ~!ってなりました。なるほど、そうゆうことなんだね、と。
主要な登場人物は、みんなが本気。っていう感じが、後半はバシバシ伝わってきました。

それに、「アイダホの男」が、犯人じゃないっていうのは、素晴らしい。
「アイダホの男」が犯人じゃないと分かるまでは、
けっこう、犯人だよね?犯人だよね? やったー! って観ている人全員がなったと思う。
ディクソンも思い余って、結果が出る前にミルドレッドに報告しちゃう。
けど、違う。違うんです。……そんなことって。
ちなみにここで私は、「アイダホの男」が本当の犯人で、
新しくきた署長が何かしているのか?と勘繰ったけど、
そうじゃなかった。そこじゃなかった……。

アイダホの男が犯人じゃないことに対して、
そうだよね、現実ってそうだよねって冷静になる(映画だけど)。
そこが、なんかすごいリアルでよかった。そして最後のシーンにつながっていくんです。

最後のシーンは、素晴らしく穏やかで美しい車内のシーン。
私は、あのまま、アイダホの男を二人で殺してほしいんだけれど、
あの二人は、殺さないと思う。そういう終わり方。
生きていくのって難しい。いつだって難しいんだっていうことと、
「どうするかは、道すがらに決めればいい」というセリフで、
人生を思った。

レビューを書こうと、ほかの人のレビューを読んだりすると勉強になる。
私は、ぜんっぜん読みとることが出来なかったんだけれど、
本作を、宗教的な作品としてみることが出来るようです。

ここからは、覚えておきたいこととしてメモ。

タイトルの、『スリービルボード』。
なぜ、3枚の看板なのか?
私は、全然気づきませんでした~。確かに1枚でもいいよね。
宗教的に(キリスト教)で言うと、3という数字は、
三位一体という父(神)と子(信徒)と聖霊の3つを示す数字だそうです。
なんか都市伝説観たいになってきた……!(それはおいといて)
そして、ポスターも3人(ミルドレッド・ウィルビー署長・ディクソン)が登場しています。
そして、監督の長編映画としても3作目だそう。
3と言う数字が、ちりばめられています。

いちばん、ほかの人のレビューを読んで、あ~!と驚き納得だったのは、ウィルビー署長が自殺したのが、馬小屋だったこと。
ぜんぜん観ているときは思い当たらなかった。
一般的に馬小屋と言えばキリストが産まれた場所です。(これは知ってた!)
そして、死の理由が自殺というキリスト教で罪とされ、禁じられていることっていう。

また、本作は火のシーンがたくさんあります。
これは、キリスト教義上最も恐ろしい厳罰でもある火あぶりのイメージ。
・ミルドレッドの元夫・チャーリーが三枚の看板を燃やす
・ミルドレッドが警察署に火炎瓶を投げ、燃やす
→ここで、ディクソンは良い奴に変身を遂げますね

ミズーリ州という場所も、宗教的には、意味があって、
ミズーリ州のあるアメリカ中西部から南東部を聖書地帯(バイブル・ベルト)と呼ぶらしい。
バイブル・ベルトっていう言葉、初めて知った。
プロテスタント、キリスト教根本主義、南部バプテスト連盟、福音派などが熱心に信仰され地域文化の一部となっている地域(wikiより)だそうです。

いろんなところに、宗教色が出ている映画として、
もう一度観てみようと思う。

スリー・ビルボード (吹替版)
 

 

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2019.8.24 DVDにて鑑賞。

 

 

ちなみに、勉強させていただいたのは、こちら。参考にさせていただきました。

blog.monogatarukame.net

www.mariblog.jp