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小野不由美『月の影 影の海』|あらすじ・感想

月の影  影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)月の影  影の海 (下) 十二国記 1 (新潮文庫)

 

あらすじ

上巻

日本で生まれ育った普通の女子高生・中嶋陽子は寝る度に恐ろしい気配に追われ、

日を追う毎にその距離が縮まっていくという異様で怖い夢を見ていた。
そんな陽子の前に、突如「ケイキ」と名乗る異装の男が現れる。
ケイキは陽子を主と呼んで跪き、一方的に謎の盟約を迫る。
突然の出来事に戸惑う陽子を異形の獣が襲撃、それを辛くも退けたケイキは、強引に陽子を月の影の向こうにある地図にない世界へと連れ去った。
陽子はケイキから「決して剣と鞘を離さないように」と碧の玉が付いた鞘に収まった剣を渡される。
「剣を振るえない」という陽子に自らのしもべの賓満・冗祐を憑依させた。
陽子の意に反して陽子に襲い掛かる獣を体が勝手に動いて撃退するようにして、

他のしもべに陽子を託して彼女を異世界に送り出した。

異形の獣の襲撃は月の影に入った後も続き、
「敵の攻撃から目をつぶってはいけない」(賓満は憑依した者の目を借りて動くため)という警告を無視して目をつぶってしまう。
そのことがきっかけで陽子は、ケイキとそのしもべ達とはぐれ見知らぬ場所(巧州国、略称:巧国)にたどり着く。
巧国では自分と同じように日本や中国からこの世界に流された人を徹底的に差別しており多くの場合は処刑される。
陽子も役人に役所に護送される事になったが、その道中でまた異形の獣に襲われ、陽子は車の下敷きになった鞘から玉だけを切り外してその場を逃走する。
全く事情が判らないまま縋る気持ちで現地の人間に助けを求めるも、
“海客”として酷い仕打ちを受けたり、利用されそうになったりしたため、
夢で見る元いた世界の幻で自分の周りにいた人達が自分の事を悪く言ったこと(実は剣が本当の事を見せていた)や青猿(その正体は陽子が無くした鞘に封じられていた妖魔。剣と鞘が離れたため封印が解けた)の讒言もあって陽子は徐々に人間不信に陥る。

 

下巻

人目を避けつつ、なおも襲撃を続ける妖魔と戦い続ける陽子は

満身創痍となり、行き倒れたところを半獣の楽俊に救われる。

楽俊は陽子を介抱し、さらには海客に対する保護体制が整っている雁国(雁州国)への道案内を買って出る。

道中に妖魔と遭遇しそれを退ける陽子であったが、

衛士(警備兵)に見つかるという恐怖から、

倒れている楽俊を見捨ててしまう。

後にそれを後悔する陽子であったが、

同時に「口封じに楽俊を殺す」という選択肢を選ばなかった自分に安堵する。

そして、「口封じにあのネズミを殺せばよかったのに」と言った青猿を殺すと、無くした鞘が現れた。

楽俊との再会はかなわず、陽子は一人で雁国を目指す旅を続けるのであった。

雁国へたどり着いた陽子を待っていたのは楽俊であった。

楽俊は先に雁国に渡り、港で働きながら情報を集め、

陽子を待っていたのだという。

再び二人旅となった陽子たちは、雁国で暮らす海客「壁落人」を訪ね、

そこで陽子が胎果(元々十二国の人間であるが、生まれる前の木に実っている時に現実世界に流され、あちらの人間の腹から生まれた人)であることを知る。

その後、陽子と楽俊の何気ない会話で陽子がケイキとそのしもべのやり取りを思い出し、

「台輔」(宰輔の敬称)という単語がきっかけでケイキとは慶東国(略称:慶国)の麒麟の「景麒」であり、

景麒が「主」と呼ぶならば陽子は巧と雁に挟まれた国である慶国の王「景王」であると告げられる。

陽子が神である王だと分かり距離を置こうとする楽俊に、

陽子は反発し、実際の互いの距離しか離れていないのだと告げ、

楽俊はそれを受けて今まで通りの接し方をしようとする。

楽俊は延台輔宛てに、慶王保護の書状を送り、

それを受けた延王は陽子らを妖魔の襲撃から助けた。

延王は陽子に、日本に戻るのか、景王になるのかの選択を迫る。

陽子は迷いの果てに、慶国の王になること、

延王の助力を受けて偽王・舒栄を討つことを決意する。


(Wikipediaより)

感想(上巻)

あらすじを自分で書こうとしたのだけれど、Wikipedia先生が、よくまとまっていたので、引用させてもらいました。

「月の影 影の海」、久しぶりに、読み返してみたけれど、面白い。
ストーリーが壮大ですが、思っていたより、文体はライトな印象を持ちました。そう、これはライトノベル。

上巻は、とにかく暗いです。

日本で生まれ育った普通の女子高生の中嶋陽子が、
生易しいぬるま湯で育ってきた普通の女子高生だから、人に裏切られ続ける。
やはり、貧しさって人を悪しくさせるのだろうか…?とか。

そして、青猿という妖魔にひどいことを言われるつづける。
他者からの攻撃と、自分の内からの攻撃(青猿は、陽子の弱さにつけ入ることをいう)という苦難と戦っていたが、やがて力…尽きる……ところで上巻は終わりです。救われない。

印象的だったのは、日本から来た老人にあう場面。
老人は、第二次世界大戦中に、異世界に渡ってしまう。
そして、渡った日時を聞くと、終戦になる少し前であった。
言葉も分からない異世界で、40年近く、苦難の中生きてきた老人。
天皇のことを聞いたり、アメリカの属国になったのか、心配したりしているさまは、なんとなく考えさせられるところがあった。

上巻を読んでいる間、ずっと楽俊を待っていたけれど、楽俊は、まだ!出てきません!!!以上です。

 

 (2019.10.5にて読了)

 

感想(下巻)

 

楽俊との出会いから、後編はスタートしました!

そうか、下巻からだったのか、と新たな発見。

 

信じるということと裏切られるということは、

何の関係もないんだということに気付かされた本だということを思い出した。

中学生の頃の自分には、とても衝撃的なことだったと思う。

そして10年後くらいに、BUMPも同じことを歌っているなあ、と思った。

BUMP OF CHICKEN 飴玉の唄 歌詞 - 歌ネット

 

上巻は救われないまま終わってしまうが、

下巻は、同じようなことが起きて、

そして、陽子が、(読者の私たちも)救われていくという物語になっている。

 

達姐(たっき)と楽俊の母親、海客の松山誠三という老人と壁落人。

陽子から見て、同じような人々が、

上巻と下巻に分かれて登場してくるが、

陽子への正反対の対応をする。

 

達姐は、困っていた陽子に、優しく接するが、

本当は女郎宿に売り飛ばそうとする。

対して、楽俊とその母親は、陽子のために優しくしてくれ、

楽俊は旅についてきてくれる。

追っ手やその他の困難が襲う可能性があるにもかかわらず、

陽子と楽俊を送り出してくれた。

 

初めて陽子が出会った海客の松山は、

言葉に不自由し、日本に戻りたいと願っており、

最初は、優しくしてくれていたが、

今の日本の状況が豊かったになっていることや、

陽子が言葉に苦労していないことを妬み、

陽子の荷物を奪って行方をくらませる。

壁は、陽子の疑問を解決してくれ、

そして日本にもう戻りたくはないのだと、

こちらに逃げてきたのだという。

 

この本を読んでいると、

善意や信じることとはなにか?と

考えさせられるけれど、 楽俊の考え方に習うことが多い。

 

楽俊を見ていると、相手の気持ちを理解するということが、

やはり聡明なことのように思う。

相手はどう思っているのか、自分が同じ立場だったなら、

そういうことを考えて人と接する大切さを、改めて考えさせられる。

 

最近は、本に没頭して読み耽ることなどなかったが、

この本は中学生の頃に戻ったように、

純粋に本を楽しむことができた。ありがたい。

 

 (2019.10.19にて読了)

 

月の影  影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)

月の影 影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)

 
月の影  影の海 (下) 十二国記 1 (新潮文庫)

月の影 影の海 (下) 十二国記 1 (新潮文庫)